氷嚢ってなんでダメなの?ちゃんと知ってる?

 

From:黒川 純

@診察室より、、、

 

今日、足首を痛めた60代の患者さんが
来院されたんですけどね、

すでに受傷してから3日くらい
たってたんですね。

 

診察室に入って来た
その患者さんの第一声は、、、

「先生、アイシングはしたよ!」

 

そして、第二声は、、、
「でも、痛みが取れないんです」

 

そう、この患者さんはアイシングをしても
痛みが取れなかったから
当院に来られたようなんですね。

 

そもそもアイシングだけでは
痛みが取れないことは
先生もご存知かと思いますが、

でも患者さんにとってみると
わからないことかも知れません。

 

それはいいとして、
私が気になったのは、、、

そもそもアイシングはちゃんと
できていたのかということ。

 

最近はアイシングについていろいろと
議論がされていますが、、、

特にアイシングはしないほうがいいとか
早期から温めたほうがいいとか
そもそも何もしないほうがいいとか

どんな根拠があるのかは知りませんが、
いろいろな意見がありますね。

 

私は、受傷後早期に限り
アイシングを推奨しているわけですが、

さっきも言ったように
そもそもこの患者さんは

アイシングを適切に施すことが
できていたのかということ。

 

「アイシングってどうのようにされましたか?」

私はそう患者さんに聞きました。

 

するとその患者さんは、、、

・氷嚢に水と氷を入れて30分冷やした
・スプレーの消炎鎮痛剤を1缶使い切った

そう言ったんですね。

 

「え???」

さすがにスプレーの消炎鎮痛剤を
1缶使い切ったということにはびっくりしました。

 

その患者さんはダンスをしていて
2週間後に発表会があるということで
おそらく焦っていたんでしょうね。

それでも治らないからということで
当院に来院されたようです。

 

ということで、、、

スプレーの話しはちょっと置いといて
この患者さんがされたアイシング。

 

「氷嚢に水と氷を入れて30分」

これは適切なアイシングだったのでしょうか?

 

私は数年前に学会でアイシングについて
研究発表をしたんですけど、

その時に知り得たことを
先生にシェアさせていただきますね。

 

まず、アイシングは様々な方法がありますが、
先生はどんな方法でアイシングをされていますか?

 

氷嚢や保冷剤を使っている先生もいると思います。

あ、アイシング自体をされていない
先生もいるかも知れませんが、

では、もしするとしたらどんな方法でされますか?

 

一番簡単なのはやっぱり保冷剤ですかね。

だって、冷凍庫に入れておけばいいだけですし、
使いまわしもできますね。

 

でも、保冷剤は凍傷の可能性があるので
かなり注意が必要なんですね。

 

保冷剤の種類や保冷温度、冷却時間などによって
そのリクスはかなり変動します。

「え、でもタオル巻いて当てるから…」

という先生もいると思いますが、
残念ながらタオルを巻いてしまえば

タオル自体が断熱材の役割をするので
患部への熱伝導が悪くなるために
冷却効率は悪くなってしまいます。

 

また、氷嚢を使われる先生も多いのではないでしょうか?

 

氷さえ作っておけば、

氷嚢の中に氷を入れれば
すぐに患部に当てることができるし、

水が漏れることもないので
簡単に患部を冷却することができます。

 

でも、氷嚢の多くは水漏れを防ぐために
内側に合成樹脂のゴムやシリコン樹脂が使用されていますが、

これらの材質は一般的に耐熱・耐水には
優れているのですが熱伝導率は悪いです。

 

ということは、
患部の冷却効率は悪いということです。

 

では、何が良いのか?

 

そして私はどうしているかというと、、、

 

ナイロン袋に氷と水を同量入れ、
中の空気を抜いて口を縛ったものを
直接患部に使用しています。

 

ナイロン袋の厚さはわずか0.02mm。

もちろん熱伝導率は抜群です。

 

「え?凍傷にならないの?」

はい。

ご安心ください。

 

そもそも氷と水が袋の中に入っているということは、

このナイロン袋内の温度は
熱勾配を平均化しても「0度」です。

 

氷自体の温度は冷凍庫内の温度同じですが、
お氷は0度で溶けたり凍ったりしますので、

比較的凍傷にはなりにくいんですね。

 

ただ、氷が直接皮膚に当たれば、
凍傷のリスクも否定できませんから、

これを避けるため、
そして熱勾配をリセットするためにも

患部に当てたこのアイスバックを
時々揺すってやる必要はあります。

 

ただし、環境温度や皮膚温など
様々な要素が絡むことで

凍傷は起こり得ますから
一概に言えることではありません。

 

ただ参考として、、、

海外の論文ではアイシングを
30分以上するような研究がないことから

30分以上のアイシングは
控えた方が良さそうですね。

 

何より安全第一ですから。

 

今日のメルマガを見て、
「アイシングについて勉強しよう!」

と思ってこれからアイシングの論文を
検索しようとしている方に
一つ気をつけてもらいたいことがあるんですね。

 

それは、、、

アイシングにおける温度変化などを
研究している論文のほとんどは
「正常組織」に対してのもの。

 

よく考えて見てください。

足関節捻挫の急性期。

熱あるでしょ?

 

そう、「患部」というのは、
正常ではないんですよね。

 

だから正常な組織で研究している多くの論文は
ほんと参考程度にしかならないんですね。

今日はアイシングについてのお話でした。

 

黒川

 

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