From:黒川 純
@診察室より、、、
膝痛を訴えて来院された
50代の患者さんの話し。
「先生、昨日から右膝が痛くて…」
問診表には「原因不明」と書いてある。
改めて思い当たる
原因を聞いてみたが
やっぱり何も
心当たりがないという。
でもかなり痛そう。
「では、ベッドに仰向けに寝て下さい」
そう言うと患者さんは
右膝をかばうようにしながら
ゆっくりとベッドに寝た。
「ちょっとズボンあげますね」
そう言って、
両膝が見えるまでズボンのすそを
上げさせてもらった。
右膝をみると…
右膝は全体的に
腫脹と発赤を認め、
触ると熱感が
かなりある。
「ちょっと動かしますね」
ゆっくりと右膝を
曲げようとしたのだが、
痛みのために
全く曲げることができない。
さて、どんな病態が
考えられるだろうか?
・・・
・・・
・・・
このような患者さんは
先生の院にも来院される可能性が
充分に考えられます。
私は専門の医師に
紹介状を書きました。
さて、
答えを言っておきます。
この患者さんの病名…
それは、、、
「偽痛風」でした。
偽痛風は痛風と
似た病態であり、
痛みの出方も似ていることから
このような病名が付いています。
痛風は尿酸結晶による
関節炎ですが、
偽痛風はピロリン酸カルシウムによって
起こる関節炎です。
60代以降に
多いとされています。
原因は年齢や遺伝、
アルコールともいわれていますが
明確ではありません。
この患者さんのように
原因不明でいきなり
腫脹、発赤、熱感を
認めた場合は注意が必要ですね。
そのためにも、
原因の聴取や既往歴、
家族歴などの聴取は大変重要です。
偽痛風は特に重篤な
疾患ではありませんが、
早期に改善するためには
正しい判断が必要となります。
病院じゃないんだから
他科疾患までの知識はいらないよ
そんなことは
ありませんよ。
もちろん他科疾患を
的確に鑑別したり
治療することは
できませんが、
私たちは業務範囲を
超える病態をみることはできません。
だからこそ患者さんの病態を
ちゃんと見極めて、
正しい治療を
受けてもらう必要があるんです。
患者さんの病態を
ちゃんと見る知識は
これからもっと
必要になってきますよ。
黒川
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