本当にヘルニア?

 

From:黒川 純

@診察室より、、、

 

今日の患者さん。

 

左首が痛い…

左上肢がしびれる…

 

そう訴えられていた。

 

問診を進めると、

整形外科に行ったところ
ヘルニアと左肩の
肩関節周囲炎と診断され、

大きな病院への
紹介状を渡された。

 

そしてそこでMRIをとると
左C6/7のヘルニアがあることが発覚。

 

その後、なかなか痛みが取れず
ペインクリニックを紹介され、

そこでブロック注射を
繰り返してきた。

 

それでもなかなか
症状が取れないため、

ネットで調べて
病院と並行して整体に行くことに。

 

でもほとんど症状は変わらず、
今では痺れの範囲は拡がり、

さらに左回旋時の可動域低下も
自覚するようになった。

 

現時点で症状発症から
6か月がたっていた。

 

病院の先生からは
「うまく付き合っていくしかない」

そう言われたとのこと。

 

その時初めて、
「この症状がずっと続くと思うと…」

と考え、どうにか少しでも
よくなる方法はないのかと

さらにいろいろと調べた。

 

その時たまたま当院を見つけ
今日当院に来院されたのだ。

 

患者さんは40代の女性。

 

今までの治療疲れか
かなり落ち込んでいる様子。

 

まずは患者さんの既往歴から現病歴など
細かく聞くことにした。

 

そしてこれまでの症状推移や
疼痛部位、痺れの範囲など

現在の病状についても
細かく問診をした。

 

その後、頸部と肩関節の
所見を取っていった。

 

その結果、、、

左肩関節については
挙上は問題なし。

 

水平屈曲、1st rotationで疼痛あり。
結節間溝、小円筋に著明な圧痛。

 

他の様々な所見からも
左肩は医師の診断通り

私も肩関節周囲炎と推定。

 

特に結節間溝部の炎症と
小円筋の機能不全と判断。

 

問題は左頸部の疼痛と
痺れのほうだ。

 

神経学的所見で
反射、MMTに異常所見は
みられなかった。

 

しかし細かく診察していると
痺れているのは、

母指、中指、薬指の
DIP関節より以遠の指腹のみ。

 

上肢全体ではなかったのだ。

 

痺れは神経の走行に
一致してはない。

そこでTOS(胸郭出口症候群)の
検査を数種類したところ、
症状の再現を確認した。

 

さらに左回旋時の可動域低下についても
—30度ほど認められた。

 

細かな触診により
C6/7/Th1とC1/2のfacetの
hypomobilityを認めたため、

同部の関節モビライゼーションを
簡易的に行なったところ
瞬時に正常可動域となった。

 

これらの所見から
頸部については

左斜角筋症候群が
主体の病態であると推察した。

 

え?ヘルニアは?

 

確かにMRIでは
ヘルニアの診断を受けているが、

ヘルニアを疑うような
明確な所見は何一つなかったのだ。

 

だからこれまで症状が
なかなか改善しなかったものと考えられる。

 

どういうことかというと、

C6/7のヘルニアだから
同部へのブロック注射をしていたわけだ。

 

だから治らない。

 

逆説的に言ったほうが
わかりやすいかもしれない。

 

C6/7のヘルニアに
対する治療を受けて、

全く症状が良くならず、

挙句の果てに症状は
憎悪していることから考えて、

C6/7のヘルニアではないということを
裏付けているわけだ。

 

もしくはその治療が
その患者さんには

有効でなかったということが
わかったということだ。

 

とはいえ、

決して病院や整体が
間違った判断や治療を
していたわけではない。

 

それぞれの見解で
その時のベストな治療を
行っていたわけだ。

 

 

患者さんは様々な
症状を訴えます。

 

その一つ一つの症状を
的確に判断し、

そして各種の検査や問診から
患者さんの病態を導き出します。

 

病態を的確に
把握することができれば、

施術は決して
難しくありません。

 

私たちはプロとして
そういった病態を把握する技術も
高めていく必要があるんです。

 

これを読んでいる先生なら
その重要性はとっくに気づいているはず…

 

黒川

 

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