コーヒー事件の真相・・・

 

From:黒川 純

@診察室より、、、

 

当院には診察室がある。

診察室では細かく問診、
検査などを行い、説明をさせていただく。

 

そんな診察室には、
デスクトップのパソコンやプリンタのほか、
エコー、ホワイトボード、各種医学雑誌、書籍、
論文などもおいている。

 

そして手元には
いつもコーヒーが置いてある。

 

そう、めちゃめちゃコーヒー好きなのだ。

 

そのコーヒーは毎日、
朝と夕方にスタッフがたててくれる。

 

で、今日もそのコーヒーを飲んでいたのだが、

「事件」が起きた…。

 

コーヒーカップを手に取って
口に運んだ瞬間のことだ。

 

「うぁ~ッ!」

コーヒーが口からこぼれてしまったのだ。

白衣にはコーヒーのシミができ、
口の周りはコーヒーで濡れ、、、

(ー_ー)

ま、こんな顔にもなるわけです。

 

その時にふと考えてみたのです。

 

なんで、

普通に飲もうとしただけなのに
こんなことになってしまうのか…。

※ここからはマニアックな話しになるので、
興味のある先生のみお付き合いください。

 

自分なりに分析してみたのだ。

 

コーヒーカップを持つまでの手の動きは
open loop制御がメインにて行われる。

その後、カップに手が当たった瞬間、
手からの感覚刺激が脳にfeed backされ、
closed loop制御によってカップを確実に持つ。

 

さらに、カップの重さを脳にfeed backしながら、
feed forward制御にてカップを口に運ぶ。

 

そして、カップが唇につくと
その刺激は脳にfeed backされ、

そこからさらにfeed forward制御に
比重が置かれる。

 

なぜかというと、
カップが唇についた瞬間から、

いつカップの中のコーヒーが
口の中に流れ込んでくるかを
予測しておく必要があるからだ。

 

そして、徐々にカップを傾ける。

すると唇にコーヒーが当たる。

 

このときその刺激は脳にfeed backされ、
さらにclosed loop制御により、
徐々にカップを傾けてコーヒーを
口に流し込んでいくのだ。

 

ということは、、、

私がコーヒーをこぼして
しまったタイミングは、

すでにカップが口について
流し込む段階だったから…

 

コーヒーが唇にあたる前、
そう、feed forward制御下のときだ。

 

おそらく、カップを傾ける
スピードが適切でなく、

急にコーヒーが流れてきたために
こぼしてしまったのだ。

 

カップを傾けるスピードは
feed forward制御にて行われている。

 

feed forward制御とは、
予測の制御だ。

 

これはfeed backセンサーが
刺激される前に起こり、
これは以前の経験を上手く利用している。

 

例えば、キャッチボールで
相手が投げたボールをとるとき、

視覚的情報からボールの軌跡を予測し、
ボールを確実に取るために
手をどのように動かすのか
(収縮させる筋、タイミングなど)
を制御している。

 

これがfeed forward制御だ。

 

つまり、私の場合は、
このfeed forward制御にミスがあり、
コーヒーをこぼしてしまったのだ。

 

では、なぜこのようなことになったのだろうか?

 

おそらく、カップの中のコーヒーの量を
把握していなかったためであろう。

 

よって、視覚情報によるfeed backが少ないため、
以前の経験を中心にfeed forward制御が働き、
その予測を誤ってしまったのであろう。

 

これはよくあることだ。

いわゆる思い込みというやつだ。

 

たとえば、段ボールの大きさから
これくらいの重さだろうと予測して持ったところ、

実は予想よりも重くて
腰を痛めてしまうことがある。

 

情報量が少ないと脳へのfeed backも少ないために
正しい予測を立てることができないのだ。

 

だから今後私が気をつけることは、
コーヒーの量を確かめながら
コップを傾ければいいのだ。

 

こうした運動制御理論というのは少し難しい。

 

でも、理解できると面白い分野でもある。

 

私も、これについては
もう少し勉強する余地がある。

 

この事件をきっかけに・・・

 

黒川

 

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