From:黒川 純
@診察室より、、、
左膝が痛い…
中学生の男の子が
お母さんと来院。
問診票には左膝に〇がしてある。
原因の欄には
自転車をこいでいて、、、
なるほど。
自転車をこいでいて
左の膝が痛くなったのか。
そう思って診察を始めた。
診察に入ってきたお母さんが
すぐに私にこう言った。
「先生、オスグッドかもしれんって息子が言うんです」
これくらいの年齢で膝が痛いというと
確かにその可能性は高い。
私が「何かスポーツはしてるの?」
そう聞くと、
「野球をしてます!」
そう元気に答えてくれた。
すぐに膝の診察を始めた。
「どこに痛みがある?」
「ここです」
そうハッキリ答えてくれたのだが、
どんな検査をしても痛みは誘発されない。
圧痛もない。
屈伸やジャンプをしてもらったが
なんともないのだ。
お母さんも
「え?痛くないの?」
「う、うん、、、」
息子さんもちょっと
困った顔でそう答えた。
さて、私は何をしたでしょう???
と言いたいところだが、
正直何もしていない。
私がしたのは膝に対する
いろんな検査だけ。
そう、実は何ともなかったのだ。
よくよく聞くと、
そんなに痛みも出てなかったとのこと。
でも、周りの友達がオスグッドになって
膝を痛がっていた。
さらに、その友達から
「お前もオスグッドじゃない?」
と聞かれたことから
不安になっていたんだと思う。
でも膝に多少なりとも
痛みは出ていたわけなんだが、
その原因を少し
考えてみることにした。
座位、立位ともに骨盤は後傾を呈し、
その影響で胸椎後弯、
頸椎伸展傾向、
膝関節屈曲傾向であった。
さらに足関節のROMは低下していて
踵をついてのしゃがみ込みはできなかった。
このようなことから、
膝関節に屈曲モーメントが作用し、
その結果、大腿直筋に張力がかかり
脛骨粗面部に過剰なストレスが
発生しやすい状況ということが想像できる。
いわゆる機能異常が
発生している状態である。
骨盤後傾の原因は不明だが
これは多裂筋の機能不全の結果だ。
※かもしれない…他の可能性もある
では、この多裂筋の機能不全を
引き起こしたのは何か?
胸腰筋膜を介した腹横筋の
機能低下かもしれない。
だとすると腹横筋の機能低下は
なぜ起こったのか?
このようにどんどん掘り進めていくと
本当の”犯人”見えてくるのだ。
膝の前面に出現したちょっとした痛み。
その痛みの原因は、一体何なのか?
このように思考していった結果、
最終的に私はお母さんにこのような質問をした。
「以前に左の足関節を捻挫したことはありませんか?」
するとお母さんは、
「え?ありますけど、なんで知ってるんですか?」
お母さんだけじゃなくて
息子もビックリしていた。
これは”あてずっぽ”ではない。
身体所見から考えられることを
片っ端から列挙して
その理由を見つけ出し、
さらにその理由を…
といった感じで、
原因の原因の原因を突き止めるのだ。
私達は身体の不調の原因(犯人)を見つける
探偵のようなものだ。
そしてその原因(犯人)をつかまえる方法が
いろんな徒手テクニック(捜査方法)。
だから原因(犯人)がわからなければ
どうしたらいいか、わかるわけもない。
まずは原因究明(犯人探し)が最も重要なのだ。
黒川
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